【2028年に大改正】遺族年金が「死ぬまでもらえる」時代は終わり?知っておきたい変更点をやさしく解説

お金を守る

こんにちは、みちょんです。

今回は、2028年4月から始まる「遺族年金制度の大改革」について解説します。

特に影響が大きいのは、自営業者向けの「国民年金」ではなく、会社員などが加入する「厚生年金」に連動した遺族厚生年金の部分。

これまで「夫に先立たれた妻が、生涯にわたって年金を受け取る」という考え方が主流でしたが、これが「5年間の一時的な支援」へと大きく方向転換されることになります。

ちょっと長くなりますが、大切な話なので最後までお付き合いいただけるとうれしいです。


◆そもそも「遺族年金」ってなに?

突然ですが…
もし家族の収入を支えてくれていた人が急に亡くなってしまったら、残された家族の生活はどうなるでしょうか?

考えたくないけれど、現実に起こりうる“もしも”の話。
そんなときに、私たちの生活を少しでも支えてくれるのが「遺族年金(いぞくねんきん)」という制度です。

これは、国が用意している公的な保障制度のひとつで、働き手を亡くしたご家族が、生活に困らないように…という思いから作られています。


遺族年金には2種類あります

遺族年金には、亡くなった方がどんな年金に加入していたかによって、次の2つに分かれます。

■ 遺族基礎年金(こくみんねんきん)

これは、国民年金に加入していた人が亡くなったときに出るものです。

支給されるのは、
「子どもがいる配偶者」または「18歳までの子ども(障害がある場合は20歳未満)」

つまり、小さいお子さんがいる家庭をしっかりサポートしてくれる仕組みです。


■ 遺族厚生年金(こうせいねんきん)

こちらは、会社員や公務員など厚生年金に加入していた人が亡くなった場合にもらえる年金です。

受け取れるのは、
配偶者・子どもに加えて、条件によっては父母・祖父母・孫までOK。

家族構成や年齢によって、もらえるかどうかが変わってくるので要注意です。


いくらもらえるの? いつまで続くの?

金額や支給期間は、ざっくり言うと次のようなことが関係します:

  • 亡くなった方が加入していた年金の種類
  • どれくらいの収入があったか、何年くらい加入していたか
  • 家族構成(配偶者がいる? 子どもは?)
  • 受け取る人の年齢や性別

たとえば、子どもがいる家庭なら、子どもが18歳になる年度末まで(障害がある場合は20歳未満)支給されるのが基本。

一方で、子どもがいない配偶者だけの場合は、
年齢によって「5年だけ」とか「60歳からずっと」など、ちょっとややこしいルールもあります。


知っておくだけで安心。大切な制度です。

正直、できれば「自分には関係ないままでいたい」と思う制度かもしれません。

でも、家族を支える人にもしものことがあったとき、残された家族が生活を立て直すための大切な支えになるのが遺族年金

特に、子育て中のご家庭や、ひとりで家計を支えている方がいる家庭では、知っているだけで心の安心感がちがいます。

「うちは大丈夫かな?」と思ったときは、ぜひ一度チェックしてみてくださいね。

◆【今回の改正の結論】受け取れる期間が「死ぬまで」から「原則5年間」に!

今回の改正で、いちばん大きなポイントはここです。

💡 遺族厚生年金は、原則「5年間だけ」しか受け取れなくなります。

これまでの制度では、例えば専業主婦の妻が夫に先立たれた場合、再婚しない限り死ぬまで年金が受け取れました
でも、2028年以降は、そうはいきません。

なぜなら、制度の考え方そのものが見直されたからです。

🧭「妻は専業主婦で、夫が一生支える」
→「性別に関係なく、一時的に生活再建を支える制度」にシフト。

つまり、「配偶者が亡くなったからといって、ずっと年金に頼って生きるのではなく、一定の支援期間のうちに自立してね」という方向に変わるんですね。


◆【どうして変わるの?】背景にある社会の変化

この改正の背景には、現代の家族のあり方や働き方の変化があります。

旧制度の問題点はこんな感じ:

  • 💔 夫が亡くなったら妻は年金をもらえるけど、妻が亡くなっても夫は基本もらえない(一部例外あり)。
  • 💰 共働きで妻のほうが高収入だった場合、夫が亡くなっても妻は年金をもらえず「払い損」になることも
  • 💍 再婚すると遺族年金が止まるので、再婚をためらう要因になっていた
  • ✈️ 若い配偶者が終身でもらえる制度のままなので、「外国人妻が海外に帰って日本の遺族年金で生活する」ことも制度上は可能だった

こういった「男女不平等」や「制度の古さ」に対応するため、今回の大きな見直しが行われることになったんです。


◆【2028年改正の主なポイント】

① 給付期間は「原則5年間」へ短縮

  • これまで → 原則、生涯支給
  • 改正後 → 原則、5年間限定

ただし、全員が対象ではありません。例外もあります。

✅ 影響を受けない人

  • すでに遺族年金を受け取っている人
  • 60歳以上の人
  • 18歳未満の子どもがいる人(または障害のある子ども)

🔻 影響を受ける人

  • 2025年時点で37歳以下の女性(2028年に40歳未満になる人)
  • 2025年時点で52歳以下の男性(2028年以降に55歳になる人)

② 男性も「5年間」受け取れるように!

これまでは、子どもがいないと妻を亡くした夫は基本的にもらえませんでした
55歳以上で初めて受給権が発生し、実際の支給は60歳からという仕組みだったんです。

でも今回の改正で、年齢に関係なく、男女とも「5年限定」で支給されるようになります。

📍誰が「損」するの?

  • 55歳以上で妻を亡くした男性は、これまで「60歳から生涯受給」できたのに、改正後は5年で終了。
  • 仮に87歳まで生きた場合、60歳から27年間で試算例では約2,000万円以上もらえるはずだったものが、5年で打ち切られてしまいます。

③ 高収入の人も受給できるように(収入要件の撤廃)

これまでは、年収850万円以上の人は遺族年金がもらえませんでした

でもこれからは、年収に関係なく「5年間は支給される」ようになります。

共働きで妻が高収入という家庭も、納めた保険料が無駄にならないという点では良い改正です。


④ 「中高齢寡婦加算」が段階的に廃止される

  • 現在:40歳〜64歳の子どもがいない妻に月5万弱の加算がある。
  • 改正後:25年かけて段階的に廃止されます。

中高年の専業主婦世帯にとっては厳しい変更となりそうです。


⑤ 新制度「死亡時分割」の導入

遺族年金は再婚すると止まりますが、新たに「死亡時分割」という制度ができます。

これは、亡くなった配偶者の厚生年金の一部を、65歳以降に自分の年金として受け取れる制度です。

💡 つまり、「若いときに5年間の遺族年金で生活を再建し、老後は元配偶者の年金を一部もらう」二段構えの支援体制になるということ。


⑥ 遺族基礎年金(子ども向け)の改善

子どもがいる場合に受け取れる遺族基礎年金については改善されます。

  • これまで → 再婚すると受け取れなくなる。
  • 改正後 → 子どもが18歳になるまで、親が再婚しても受け取り可能に!

これは、子どもにとって安心な改正ですね。


◆【誰がどう影響を受ける?】

🔵 2028年時点で40歳未満、つまり2025年時点で37歳以下の女性

例えば、35歳で子どもがいない妻が夫を亡くしたケース。

  • 現行制度なら:生涯年金がもらえる
  • 改正後は:5年間だけで終了

老後の保障がなくなる分、自立が強く求められる時代になります。

  • 厚生労働省の公式資料によると、「施行直後に原則5年間の有期給付の対象となるのは、18歳年度末までの子どもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方」と明記されています。
  • また、改正時に40歳以上の女性については、現行通り「30歳以上で死別した場合は無期給付(生涯受給)」が維持されます。
  • つまり、今回の改正で新たに5年の有期給付の対象となるのは40歳未満の女性であり、40歳以上の女性は現行制度のまま、生涯にわたり遺族厚生年金を受給できます。

🔵 52歳以下の男性(2025年時点)

  • 今まで:55歳以上じゃないともらえなかった
  • 改正後:年齢が関係なくなるので若くても「5年限定」で受け取れるようになる

一見メリットのように見えますが、55歳以上で妻を亡くした場合に「生涯もらえる制度」がなくなるというデメリットも大きいです。


◆【いつから変わる?】

  • 2028年4月からスタート
  • 約20年かけて、対象を徐々に拡大
  • 完全に切り替わるのは2048年前後の見通しです

◆【これからどう備える?】

  • 専業主婦になろうと思っている人は、「子どもがいないと、年金は5年しか出ない」ことを知っておくことが大切です。
  • 「寿退社してほしい」と考える男性側も、「自分が亡くなっても妻に長期の年金は残せない」ので、しっかりと遺産や生命保険などで備えることが必要。
  • 政府は「女性が正社員として働き続けられる社会」を目指していますが、個人としても長く働けるスキルと準備が重要になってきそうです。

◆【まとめ】

2028年の遺族年金の大改革は、時代の流れに合わせた「男女平等・共働き前提」の制度にシフトするものです。

ただ、これまでの「専業主婦の妻が一生守られる」制度が終わることを意味します。

特に影響が大きいのは、

  • 37歳以下の女性(子どもがいない場合)
  • 52歳以下の男性(将来、配偶者を失う可能性のある人)

「年金に頼れないかもしれない時代」だからこそ、自分の働き方や備え方を、今から見直していきたいですね。

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